サクセスブロッケン 引退

GI馬の引退相次ぐ~名馬列伝番外

特に牝馬の場合、これから繁殖シーズンが到来するということもあって、GIであるか否かにかかわらず、あの馬もまた、この馬もまたと、少しさみしい時期にさしかかりつつあるのは毎年のことであるが、その繁殖シーズンを前にして、牡馬GI馬の引退が相次いでいる。
しかも、ケガのために引退を余儀なくされたという感じではない引退なので、ここでその話題にも少し触れながら、現役時代の名馬の活躍にも思いを馳せてみたいと思う。

ゴスホークケン(牡6)・・・父・バーンスタイン、母・オールザウェイベイビー、その父・グランドスラム
主な勝ち鞍・朝日杯フューチュリティステークス(GI)
朝日杯勝ち馬の場合、ナリタブライアンなどでおなじみであるが、時として大成する馬もあれば、このゴスホークケンのように、その後1勝もできないまま引退してしまうケースもあるのだと改めて実感した。
そして、2歳チャンプになったあと成績がままならないのはほぼ例外なく短距離のスピード血統の馬であると言えるかもしれない。
その点でもまた、ゴスホークケンはぴったり当てはまってしまう。

ハナに速いことは周知の通りであったが、そのスピードを持続させるスタミナに欠ける印象は正直否めないところがあった。
ただ、個人的には「次こそは」と、朝日杯も含めてずいぶんこの馬の馬券を買ったものだ。
そして、的中こそならなかったが、あの勝浦騎手とのコンビで逃げ切った朝日杯の鮮やかさはまだはっきりと覚えている。
今後種牡馬入りするということだから、子供たちには父で果たせなかった「万馬券的中」の夢を是非託したいものである。
いや、万馬券の前にまずは的中ありき。
父譲りのスピード馬、そして、長く活躍できる馬を出してほしい。


ファイングレイン(牡8)・・・父・フジキセキ、母・ミルグレイン、その父・ポリッシュプレセデント
主な勝ち鞍・高松宮記念(GI)、シルクロードS(GIII)
いやぁ、ついに引退のときがきてしまった・・・
ファイングレインもとにかく好きな馬で、ずいぶん馬券を買った。
しかも、高松宮記念を優勝してしばらく経ったあとに好きになってしまったため、結局この馬にとっては長く続いた絶不調期ばかり馬券を買っていたことになる。
「GI馬なのにここまで人気がないのはおかしい」という、たまにある復活劇を願って馬券を買い続けるうちに、なんだか本当に頑張ってもらいたいという思いが強くなり、大好きな馬になってしまった。

このブログの予想のコラムでも何度も◎を打たせてもらった。
ファイグレインの予想を信じてしまった読者の方にはご迷惑をおかけしたと思う。
ただ、あと一度、GI馬としての走りを見たいという思いと、何とか復活してほしいという願いは確かに強かったが、それだけで評価を高くしたわけではなかった。
そのくらい、ファイングレインが制した2つの重賞は見るべきところがあったと思う。
今後はフランスで種牡馬になるということだが、ミルリーフ系のパワーがうまく生きれば、フランスを舞台にして一大旋風を巻き起こす可能性も小さくないのではないかと言う気が個人的にはしている。
もちろん父方のフジキセキの血をフランスの地に伝えるという重責も併せ持つから、今後の仕事も非常に重要である。
ローゼンカバリーともども、フランスでもサンデーサイレンス旋風を巻き起こしてもらいたいものだ。


サクセスブロッケン(牡6)・・・父・シンボリクリスエス、母・サクセスビューティー、その父・サンデーサイレンス
主な勝ち鞍・フェブラリーS(GI)、東京大賞典、ジャパンダートダービー(以上G1)
ファイングレインと違って、こちらは(年齢だけ考えれば)少し早すぎやしないかと、引退の記事を見て正直驚いた。
ただ、上に書いた血統を見て、どうしてダートばかり使われるのか、その理由――競走馬になれないかもしれないほど脚が歪曲している――を、この馬を本命にしたダービーの日に初めて知った。
そして、それを思えば、このタイミングでの引退はむしろ英断に近い引退であったと思う。

とにかく垢ぬけた馬体が目に付き、シンボリクリスエスとサンデーサイレンスに共通する威圧感のようなものを生まれながらに身に着けていた馬であった。
今考えれば、ダービーを無事ゴールインできて本当によかったと思う。
血統的に芝向きでも、足元の関係でダートしか使われていないのだから、実は芝でも一番強いのではないかと考えもしたのだが、そんなことはどうでもよかった。
とにかく無事に走り終えてくれてよかったと思う。

残念ながら種牡馬になることはできなかったが(というより、この血統、どう考えても種牡馬になんてなりようがない)、今後東京競馬場で誘導馬を目指すということだから、無事に誘導馬としての再出発ができたら、近いうちに会いに行ってこようかと思っている。
とは言え、もし種牡馬になっていたら、芝でもいい子を出しそうなだけに、正直種牡馬になれないことに関しては少しもったいないな、と思う。

ともあれ、どの馬もみなお疲れさまでした。